[2005/5の日記]
7時くらい,起床. ぼんやりした頭をふりふり,食堂に向かう. 一人分しかお膳残ってない…_| ̄|○ いきなり最後尾スタート(笑)
顔を洗い,荷物をまとめて宿を出ると, バイク組が宿の前で荷作りしていた. がんばるねえ,諸君. 昨日例の女の子がなんだったかのメーターが動かなくなったとか 言ってたけど,どうしたかな. 挨拶を交わして,俺は車に荷物を押し込んだ. 昨日の天気からは想像も付かないほど綺麗に晴れている. 昨日の雨のせいか,空気がしっとりしているが, これから暑くなるだろうことを予感させる空だった.
昨日着いたのは夜だったから行かなかったが,今は朝だ. 霧島神宮に行ってみることにした. 後で知ったことだが,ここは天照大神のお孫さん,ニニギノミコト を祭る神社だそうな.そばにある高千穂峯の頂上には 天の逆矛があるそうな. へー. どうりで菊の御紋がついてるわけだ. 境内に入ると,腰の低いお兄さんが降りてきた. どうやら一足先に来ていたらしい. 一枚写真を撮ってもらう. 観光バスも来ている. どうやら有名な観光地らしい. 全然知らなかった. 誰を祭っているのかも知らなかったので,またも旅の安全を祈願した(笑) 神々しいくらいに気持ちの良い朝日が差していた. 今日も良い旅ができるに違いない.
車に戻ると9時. あ,今なら宿も取れるかもしれない. そう思って宮崎婦人会館YHにお電話. ここは婦人会館という名前から,ひょっとして男は泊まれないのでは, と思ったりしたが,ウェブを見てみたらしっかり男性でも 泊まれますと書いてあったので,宿泊候補の一つにしていたのだ. 今夜泊まりたい旨を告げると,洋室を無理矢理和室に改装した 部屋で相部屋だがいいか,とのこと. 泊まれりゃOK.快諾. 今夜も寝床を確保できたぞ.
さて,今日の予定は,当然鹿児島観光. チェックポイントは,桜島の埋没鳥居,黒豚料理,薩摩揚げ,ついでに会社に土産. 本当は焼酎も飲みたいところだが,いかんせん車なので そういうわけにもゆかず. ルートとしては,まずは鹿児島市街で土産と黒豚,薩摩揚げ, ついでフェリーで桜島,うまくいけば佐多岬までいけるかな? 昨日走った国道223号線を走れば,いづれ鹿児島湾湾岸を走る国道10号に出る. それを西へ向かえば鹿児島市街だ.
国道10号まで出ると,すぐ先に鹿児島湾があり,その向こうに桜島が見える. JRの車内広告とかで,桜島を帽子にみたてて,女の子がかぶろうとしている写真が あったけど,あれやってみたかったなあ. 一人ではちょっと無理だった. ので,車内からぼんやり眺めた. …いや,それくらいしかすることが無かったのが正解だ. 一般的には,今日が連休の開始日なうえに,この陽気だ. 幹線道路が混まないわけがなかった. 国道10号は大混雑であった. 桜島でも見えなかったら,ひまひま言いながら無駄な時間を過ごして しまったことだろう.
鹿児島市街まで渋滞は続いた. まずは黒豚だ. 豚肉の料理といえばトンカツ. 有無を言わさずトンカツ. 黒豚の肉を使ったトンカツ屋があるというので,行ってみることにした. 調べによるとお値段も普通のトンカツと変わらない. お昼はこれに決定. 入った店は,まっぷるに出ていたお店で,六白(ろっぱく). 六白とはこのへんの黒豚の品種名だそうで,その肉が出るらしい. 店は市街地のアーケードの中にあり,土産物店の二階にあった. 階段を上がると列ができていた.階段をのぼりきったところに 床屋があり,その奥が件の店だ.列はそこから伸びていた. しばらく待つと,カウンターに通された. キャベツ丼も気になったが,特選ヒレカツを注文. たしかにうまかったが,普通の豚肉との違いまではわからず.
一階の土産物屋にて,会社への土産にかるかんを購入. 美味しいのかなあ.俺食べたことないんだけど. 本当は焼酎も買って帰りたかったんだけど,マップを車に置いてきてしまったのと, 人の多さに辟易していたのが原因で移動したくなった. 薩摩揚げはどこかで買えるだろう.
車に乗り,フェリー乗り場を目指すことにした. が,それらしい建物が見えて来たあたりで愕然とした. なに,この渋滞.このクソ熱いのに渋滞にまた巻き込まれねばならんのか. ため息をつきながら渋滞の波に乗って長い時間を掛けてフェリー乗り場から脱出した. フェリーに乗るなんて,浅はかな考えだった.
だからと言って,桜島へ渡ることを諦めたわけではない. 地図を見れば分かるように,桜島は島と言いつつも陸続きである. 道路もしっかりと記載されている. 島の東側から行けばいいのだ. 今日はあちこちで時間を浪費しているので,高速を使って一気に国分ICまで. 朝に国道10号に入った地点よりいくらか東側だ. ここから南下すれば桜島の東側に行ける. 鹿児島湾に沿って時計回りに走った.日も傾き,赤みを帯びて来る頃,桜島への入口に到着. 穴のたくさん空いた赤い石がごろごろしている. 溶岩によるものであることは,素人目にも分かる. 島が隆起によるものではなく,溶岩によるものなのではないかと感じた. この島はかつて何度と無く噴火をくり返し, 溶岩がいろんな物を飲み込んで来た. その飲み込まれたものの一つ,埋没鳥居を見たかったのだ. 溶岩に半分飲み込まれた鳥居が今も残っているという.
埋没鳥居の看板を見ながら走っていると,桜島側のフェリー乗り場を発見. あれ? フェリー乗り場と鳥居は反対の方角にあったと思ったが… どうやら通りすぎているらしい. まあぐるっと一周すれば見付かるだろう.適当に行くか. フェリー乗り場はさすがに大勢の子連れ観光客で賑わっていた. そして,桜島YHも発見.結構でかいなー.
島をぐるっと一周して,埋没鳥居をやっと見つけた. が,駐車場無し!近くに車を停めるスペースも無し! 仕方無しに素通りすることにした. 何しに来たんだ,俺( ´-`)
そろそろ夕方と言って良い時間になってきた. 今夜の宿は宮崎. そろそろ宮崎目指して移動せねば. 高速を降りたあたりまで戻り,国道10号に乗って東へ向かえば目的地まで行ける. それにしてもこの湾岸道路は信号もなく道幅も広く走り易いな. 追越車線が無いのが残念だけど.
国道10号に乗ってから気が付いたのだが, 鹿児島,宮崎の人はひょっとして,追い越しとかしないものなのか…? 登坂車線があっても,どんなに遅い車でも走行車線を走っている. そして登坂車線から追い抜くことはしない. …すんません,我慢できませんでした(笑) 一気に2速まで落し,登坂車線から10台程度抜かせていただきました(笑) このへんの人らからしたら,神戸ナンバーなら納得,という感じなんだろうか.
すっかり日も落ち,午後8時くらいになったころ,宮崎市街に到着. まずは宿にチェックインせねば. 今夜の宿は宮崎婦人会館. 場所は県庁の斜向い.すぐに見つける事ができた. コンクリートの建物で,公民館か何かかと思うような建物だ. 入ってみると受け付けがあり,非常に公民館チックな受け付けになっている. 笑顔の素敵なお姉さんが受け付けをしてくれた. 笑顔が素敵と言うか,良く笑うという感じか. 部屋は大部屋. 今までYHで泊まった中でも最大の部屋だった. そのまま50人くらいで宴会できるだけのスペースがある. そこに布団を敷いて寝るわけだ.10人くらいいたろうか.
とりあえず寝床だけ確保して,飯を食いに. お姉さんに教えてもらった近くの居酒屋. ここでチキン南蛮も食べられるらしい. 早速歩いて行ってみた. 激烈に混んでいる. …きっと美味いからに違いない. 期待しながら待つ.
やっと名前を呼ばれたが,店員は済まなそうな顔をして, 相席お願いできますか?と来た. 断るのも感じ悪いので,いいですよ,と答えた. 通された席は,二階の座敷席. 四人座れるのだが,俺と相席になったのは女の子. どうやら後から連れが二人くるらしい. 何も喋らず,というのも気まずいので, とりあえず挨拶だけしてみた. …すっごい迷惑そうな顔をされたんですけど( ´-`) もう話し掛けんのやめとこ. そう思って,ささっとビールとチキン南蛮だけ注文. それ食べたら店出よ,と思っていた.
しかし,ビールは来たものの,待てど暮らせど我がメインディッシュ, チキン南蛮は現れない.どうしたことか. 連れの女の子も現れ,ますます居づらい雰囲気を醸し出す. あまりに居づらいので,知合いにメールで愚痴ってみたり. メールを送り,顔を上げるとビールの中にハエがダイブしていた. 最悪. 注文してから待つ事45分,やっとチキン南蛮樣のおでまし. 味も何もあったもんじゃない. 早くその場を離れたくて味わう事すらせずに腹に押し込んでいた.
宿に戻ると,他の宿泊客も戻って来ていた. 話をしてみると,どうやら尼崎の塚口に住んでいる人を発見. 俺が良く行く三菱電機の構内で働いている人らしい. 日本は狭いね. その人はバイクで事故って足を痛め,明日は帰るんだそうな. お大事に. 他にも福岡から電車で旅をしている人もいた. YHで出会う人で,電車で旅をしている人というのは初めて会った気がする.
今日はシャワーが大混雑しているらしく,入浴は諦めた. 明日どこかで入ろう. おしゃべりしていると,部屋の入口に一番近い人が もう寝ようやーと言うのでちょっと早い時間だったが寝る事にした.
明日は高千穂を通って熊本へ行こう. おやすみなさい.
午前7時半,起床. おっちゃんの館内放送で目を覚ました.
”飯できたでぇ〜”
眠気を堪えながら,なんとか平らげる.
部屋に戻ると,白人男性がいた. あれれ,この部屋にこんな人いたっけ? 話を聞いてみると,午後11時半過ぎにチェックインしたらしい. 俺はその時間には爆睡してたわけだな. 話している所にもう一人見知らぬ男性が. …この人も昨晩やって来たらしい. いやー,まったく気付かなんだ. それどころか,俺が昨日話した二人は既にチェックアウトしたあとだし. なんだか不思議な気分だ.
外は晴れている.といいなと思ったが,曇り.
今日は海地獄,血の池地獄,そして関アジ関サバを狙う. まずは海地獄を目指す. が,いきなり道に迷った(笑) 迷ったついでに,コインランドリーを発見. 洗濯物溜ってるし,昨日は洗えなかったのでここで洗うか. 洗濯物を洗っている間に,地図とにらめっこ. なんとか自分の位置が判明. どうも曲がる場所を一つ間違えたらしい. 今度は大丈夫だろう.
洗濯も完了し,助手席に洗濯物が広がる. これで走りながら窓を開けたりエアコン掛けたりで乾かすのだ(笑) 一人旅になってしまう一番の原因かも. 海地獄に到着. 外からももうもうと白煙が上がっているのが見える. 入口で料金を払って中に入ると, もうそこらじゅうで白煙が上がっている. 土産物店を抜けると,そこにご本尊というか,海地獄があった. 小さな池から凄まじい量の湯気が上がっている. 湯は青く,とても綺麗だ.たしかに海のようだ. 音声の解説によると,この色は硫酸鉄によるものらしい. 湯温は98度.ざるに卵を入れて茹でていた. とても入れる気がしない.
次は血の池地獄へ. 海地獄から血の池地獄は少々離れており, 住宅街の中をちょいちょいと入らなければならなかった. トンネルを抜け,下り坂の途中に看板を発見. 海地獄もそうだったが,一ヶ所にいくつかの地獄が固まっているケースが 多いように思う.歩いて数分のところにまったく特徴の違う 温泉がいくつも沸いているなんて,不思議な世界だと思う. 血の池地獄は,赤い粘土を含んでいるせいで赤く見えるらしい. 同じ赤といえども,有馬のそれとは大きく異なる. この赤い粘土,なんだったかの病気に効くとのこと. 本当かどうかは知らないが,案内のおばちゃんが得意気に宣伝していた. ここには足湯があったのだが,タオルを取りに戻ると もう一回入場料が掛かりそうなのでやめた. もうすぐ11時だしな.
問題の関アジ関サバを食べさせてくれる回転寿司屋, 亀正には開店時間直前に到着.全然空いている. これは穴場なのかも知れないなあ. ちょっと待って11時をまわるのを確認してから店内に入ると, まだまだ開店準備中という感じ. 準備が終るまで席について待たせてもらった. ベルトコンベアが動き始め,照明が点き, 開店状態になったのを確認し,速攻で注文. 他の客も同様に注文をしたため,寿司が出てくるまでに ちょっと時間がかかった. でも,出て来たものを食べて大満足. 普通鯖って言ったら,酢で匂いをごまかしたのが出て来る. というより,普通の鯖を生で,ほんとうに切っただけで食べるのは無理. だが,出て来た関鯖はまさに切っただけのものを,ご飯に載せている状態. ところが生臭さは無い. こんな鯖もあるのかと感心していた. 関アジもすごい. はごたえが違う. きゅきゅっという感じだった. こんなうまいもんだったのかー. そら大分出身の先輩も”絶対食え!”と勧めるだけあるな. ちなみに,この関アジ,関サバは四国側に揚がると もっとお安い値段で食べられます. でも四国に食べに行くのは遠いので,今回はこちらで.
今日はとりあえずやまなみハイウェイを走る気満々なので, やまなみハイウェイの北の入口の由布院まで行くことにする. 別府からだと昨日通った山道を行けば良いのだが, 一般車に足止めを食って時間を浪費するのが最高に勿体ない. そこで,高速を使って由布院までいくことにした. 別府から大分道に乗り,由布院へ…って,俺! 行く方角間違ってるやん!大分市到着してどうすんねん!(笑) 大分ICでUターンして,今度は間違いなく由布院へ向かった.
途中のSAで休憩し,ついでに今夜の宿を探す. 今日は…これからやまなみハイウェイを抜けて, どこまで行くかなあ.高千穂あたりか? あれなら阿蘇を抜けて南東にちょろっと行ったら着きそう. 早速お電話. 満室. さて困ったぞ. では熊本か. 熊本に今夜泊まってしまうと,明日どこをまわるか, すごい悩みそう. 鹿児島,宮崎は見たい所がいくらかある. だったらそちらで泊まらないと,時間の無駄が出来る. いろいろ考えたが,高速を使って一気に鹿児島を目指すことにした. 今夜の宿は鹿児島県,霧島神宮前ユースホステルに決定.
やまなみハイウェイはおそらく車のCMなんかで 誰でも見たことはあると思う. 高原の中を緩やかに走るとても気持ちの良い道. そのまま南下すると阿蘇山にたどり着く道. というのをマップで読んで期待していた. 国道210号線から県道11号に入ってずんどこ. そこでこの地図を見て欲しい.
http://www.mapfan.com/index.cgi?MAP=E131.17.51.4N33.14.47.0&ZM=8
ここがやまなみハイウェイの入口. まさに国道210号と県道11号の分岐点. そのすぐ東にみえているウネウネした道が何号線かわかるだろうか. 道幅は車1.5台分といったところだったろうか. ええ,楽しい道でしたよ,ええ. 210号に帰ってくるまでは,これがやまなみハイウェイだと 信じて疑いませんでしたもん. こんな走りにくい道を抜けると,あんなCMに出てくるような道に たどり着くと本気で信じてましたよ.
すっかり騙され, しょんぼりしながらやまなみハイウェイに入る俺. しばらく前走車について走る. 少しずつ高度が上がっている感じはするが, しばらくは林の中を走っていた. たまに道からそれる車があり,前走車は一台一台と減って行く. そして先頭の車が見えてびっくりした. タクシー( ´-`) この道を走りたいからって,タクシーで来る奴がいるのか. 世の中金持ちが多いのかしらね.
林が終り,一気に視界が開ける. 緑色の草に覆われた高原が広がっていた. 雲が出ているため,日差しは強くない. 信号も無い,オービスも無い,都市の喧騒も無い,なんていい道なんだろう. べつに攻める道ではない. とくにコーナーらしいコーナーもないので, まったりまったりと進むしかない. あってもどうせ前走車がいるので,まったりまったり. この道は,窓を開けて走るべきだ. 最高の景色だ. わざわざ金のかかる車で来た甲斐があったというものだ. こんなところへバスで来るなんて不粋もいいところ. このSWを,自分でハンドルを握ってこの景色を楽しみ,走れることに感謝した.
このあたりは放牧も行われており,道沿には木で柵が作られ,その向こうでは 牛が草を食べていたりする.車を停めるスペースが十分にあるのなら, 車を停めてゆっくり景色を眺めたいところだが, あいにくそのようなスペースはほとんどない. あっても先客がいる. たまに道沿に大きな施設がある. もちろん大きな駐車場も備え,たくさんの観光客で賑わっている. 道をはさんで施設の反対側は,高原に入れるようになっている. ここは人さえいなければ写真でよく見る場所だ. 緑の高原に,大きめの池がある. 阿蘇の観光パンフレットには必ずといっていいほど良くある光景だ. 人さえいなければ(笑) そう思いながら通りすぎる.
やまなみハイウェイを抜けると,阿蘇市に入る. 阿蘇山を囲むように国道57号と325号が走っている. この57号と325号を繋ぐように走る道が,阿蘇山山頂へ向かう道だ. 当然ここも走る. かなり車が多い. 赤茶けた地面が見えている. 植物も生えにくいらしい. 火口1km以内には近づけないらしい. ちょっと前に噴火があったからなあ. 通過.
325号から57号に合流し,熊本市へ向かう. 熊本から高速に乗って一気に鹿児島へ向かうつもりだ. が,腹が減った. 日は既に傾き,夕方と呼ぶに相応しい. そんなとき,道沿にジャスコ発見. 何かたべものを…と思って入ってみる. 晩御飯には早いが,おやつには遅い. しかしこれから向かう先で,満足の行く食事を取れるかどうかは不安. 腹一杯食べてしまうわけにもいかないが, あとで腹一杯になれる保証が無いのだ. それというのも,これから向かう先は高速を降りてから ひたすら山道なので,飯を食えるところが無い可能性が高いうえ, 高速のSAで食べるにしてもカレーとラーメンの二択を 迫られることになるからだ. どうするか. しばし考えたあと,メロンパンを購入. 美味しそうだったから.
メロンパンを食べていると,汽笛の音が. なんや,ここは汽車でも走ってるのか?
メロンパンを平らげ,高速に乗る. 走っていて気が付いたことがある. 熊本ナンバーの車は,追い越しも普通にやっているが, 追い越し中に後ろに車がいた場合は,さっさと道を譲ってくれる. 道は決してスカスカでは無かったが, いつもどおりの速度で巡行できたのはそのためだろう.
えびのジャンクションを左へ行くと,宮崎自動車道に入る. 不思議だった. 宮崎ナンバーの車は追越車線を走らない. 俺悪者みたい. 霧が出てきた.
霧島SAにてご飯. 心配したとおり,カレーを食べる羽目になった. 期待通りの味だった. 給油. 雨が降っている.これから山道なのに, 雨+霧とはついてないな.
高原(たかはる)ICで降り,国道223号を走る. 既に日は落ち,真っ暗になる寸前の青っぽい夕暮れ. 雨が弱まる. 思った通り,食事できるような店は無かった. 前走車無し,信号無し,視界はあまりよろしくない. 道は次第にうっそうとした森の中へ. ちょっと不安だが,マップで確認したとおりこの道は国道223号で, 霧島神宮へと向かっているはずだ. ICから20kmほど走った所に霧島神宮の大鳥居があるはず. 案内板はほとんどない. 塗れた路面に乱反射するヘッドライトの光, ハイビームにすれば遠くまで見えるが, 光が森に吸い込まれているような気がして,なお不安になる. たまにすれ違う対向車が心の支えだった. しかし,コーナーを曲がり切る寸前, 次のコーナーを曲がるテールランプを確認. 前走車発見! 嬉々として後ろの張りつく. 前を行く車はジムニー. とても不安そうなのが後ろから見ていても分かる. 後ろからフォグランプを点けた俺が近付いてきたので 一気に視界が広がったのか,だいぶ運転に余裕が出たようだ.
ライトアップされた石造りの大鳥居に到着. 菊の御紋が入っている. なんか有名なとこなんでしょうか. 俺が今日用があるのはこの先のユースホステルなので, 深いこと考えずにさっさとくぐらせてもらう. 神宮前のロータリーみたいなところを右に行くと, すぐに見付かった.
今夜は三人部屋. 東京から来たという,ガタイはでかいが腰の低いお兄さん, 子供が全員巣立ったので,20年ぶりにバイクを購入して乗り回している おじさんと俺の三人. まあ,まずは風呂だ. ここの風呂は温泉で,霧島温泉の湯が引かれている. ええなあ,家に温泉なんて. 床は昔懐かしいいろんなサイズの丸型タイルを組み合わせたもの (何気に好きだったりするが),壁はブロック塀. 女湯との境目には,あからさまにあとで打ち付けましたと言わんばかりのベニヤ板. そして,湯舟の向こうには,どういうわけか たくさんの植物…でも全部造花とか. てか,なんでこんな南国ムードの装飾なんだろう. ジャングル風呂?
風呂から上がると,腰の低いお兄さんが,一緒に飲みませんか,と 誘ってくれた.どうやら談話室でビールを飲みながら談笑しているらしい. 混ぜて!と参加する. うちの部屋三人と,あと二人. 一人は東京から来たというメガネを掛けた女の子. バイクでこけたときの事故紹介をしていた. もう一人は茨城出身の男の人. 酒がまわるにつれ,茨城弁が出て来るのが面白かった. 千代田の出身だそうな. 日付が変わるくらいまで飲んでたっけ.
一日目の夜に降り始めた雨は,深夜に強烈な雨になり, それでも二日目の朝には上がった. 晴れたら長崎へ行こう,晴れなかったら大分へ行こうと 昨日布団の中でうとうとしながら考えていた. 今日の空は曇り.別府行き決定.
朝,ホテルで朝食のおにぎりを食べながら, どこを通って行くかを考えていた. とりあえず近いから太宰府は行くとして, 湯布院へ今日行くべきかどうかを考えていた. 実はその近くの耶馬渓というところにも少々興味が出て来ていて, 時間的に両方行くのはきついと感じていた. 結論.そのときの気分で考えよう.
まずは中州川端の明太子屋のふくやへ. 博多出身の友達がいるのだが,そいつが実家へ戻ったときに よくここの家庭用明太子を買って来てくれたものだ. とても美味しかったのを覚えている. 今日のお昼に食べたいので,家庭用を一つ購入. あとでコンビニかどこかでご飯だけ買って食べよう. この界隈はかなりゴミゴミした町並みで, ゴミ袋をつつくカラスがたくさんいる. 俺はカラス自体は別に嫌いではない. が,ゴミ袋をつつく姿は残念ながら好きになれない.
本日の第二チェックポイントは太宰府. 菅原道真を祭っているらしい.へー. ふーん. とりあえず,頭良くなりますように,ついでに弟も試験受かりますように,と. 帰り道にてコロッケと最中を買う. コロッケがうまい. 最近気が付いたんだが,あげたてのコロッケと見ると結構な確率で 手を出してるな.コロッケ好きなのかな. 駐車場で次の目的地を決めようとマップを眺めていると, 車の前でおっちゃんがすごく誘導したそうにして立っている. おっちゃん…俺まだ出ないんだけど…. そんなに邪魔?
今日は湯布院か別府あたりまで行けそうな気がしてきた. 地図を見ると,ここからはどちらも同じ方角にある. 湯布院を通って別府まで行くか,湯布院で泊まるかだろう. 国道210号線に乗れば良いのだが,このあたりは道がごちゃごちゃしていて ちょっと頭にたたき込むのはやめた方が賢明かと思い, 高速に乗ってとりあえず山田SAに行って考えることにした. 途中でコンビニを見つけたら,ほかほかご飯を買おう.
山田SAに2時過ぎに到着. さあ,食うぞ食うぞ,明太子. ほかほかご飯と,よだれの出るような明太子. 一時炊飯器を持って来ようかと思ったのだが,うちの炊飯器を稼働させるには 300wの出力を30分程度出し続けられるインバータが必要だったのでやめた. だがコンビニのほかほかご飯も良い味出してるな. 車内でうまうま言いながら食べていた.幸せ. …あー,書いてるだけでもよだれが… もうちょっと日持ちしてくれたらいっぱい買って来たんだろうけどなあ. まさに絶品の味だった. 以後,車内には常に明太子の匂いが充満することになる.
地図を見て,湯布院へのルートを探す. 高速で行けば一本道.しかし…高速に並行して走る国道210号を見て思った. 川に沿うように走ってて,なかなか楽しそう…. まだ時間はある. よっしゃー,210号にけってーい!(笑) 泊まりは別府でいいだろう. 別府YHに連絡を取ってみると,ええよー,とのこと. 今夜はそちらに頼もう.
日田で高速を降りて210号へ. うきうきしてたのだが,ちょっと残念なことに,これは幹線道路らしく まったりペースで前走車は走って行く. 追い越しは不可能. もうちょいスピード出せたら結構楽しかったろうな,と思っていた. そんな感じでまったりと付いて行く. 突然目に入る電車の高架. 小さな電車だけしか走れないであろう小さな高架. そこを通過する小さな電車. まったり走ってるから見れた景色だなあ. 5000回転以上まわして走ってたら,こんなのを見る余裕は無かったんじゃないかな. これはこれで良かったか.
湯布院の街に到着したのは午後5時前. 別に風情のある街ではない. 最近ここの青い湯が有名らしく,若い観光客が多い. 宿の集中するあたりに行くと,車で入ったのを後悔してしまうほどの人集り. このへんの駐車場は満車で駐車は不可能. あきらめて別府へ行こうかと思ったところ, 公営の温泉施設の無料駐車場に空き発見.やったね. 車を停めて中へ入ってみると,小さなおしゃれな町並みが. なんだこりゃ. 由布院やすらぎ湯の坪横町というらしい. 風呂には入らんが,ここに来たことで由布院に来たということにしとくか. まあとりあえず足湯があるので,はいる…はい? なんですか,200円て.なんですか. 足湯に金払うなんて,人生初だぞ. びっくりしながらも200円払って入った. 足湯に入ってゆっくりしていると,金鱗湖なんてどうでも良くなってきた. 足湯から出て,そのまま別府を目指すことにした.
天気は曇り. 由府岳は雲につつまれ,景色はそれほど良くはない. 背の低い植物に包まれた由府岳を蛇行しながら登って行く道. 晴れていたらさぞ良い景色だったろうに. 比較的広く道が作られ,追越車線もたくさん用意されている. 遠慮なく追い越させていただく. かなり気持ちの良い道だ. ああ,これで晴れていたら.そう思わずにいられない.
道も下りに入り,しばらくすると窓を締め切った車内にいても 強烈な硫黄の匂いが入って来る. タイヤよ!あれが別府の匂いだ!(笑) ふと顔を上げて遠くを見ると,別府の町並みが見える. 街のあちこちから白い煙が上がっている. 素晴らしい.これが温泉の街か. かつて男はつらいよで見た別府の町並み. だいぶ前なので,記憶がはっきりしないけど, それを一つ一つ思い出しながら眺めていた. 今は別府にはビーコンタワーなる巨大な建物があり, これを目印にすることで宿にはすぐにたどり着けた. ちょっと景色的には残念だが.
別府YHに到着してびっくりした. なにこれ. バイクが数十台はとまっている. なにこれ. 中古バイク屋でもやってるの? それとも全部宿泊客の? とりあえず車一台停められるスペースが空いていたので, そこにSWをとめてチェックイン. どうやら全部客のバイクらしい. 信じがたい光景だった. 部屋に入ると,先客が一人.挨拶を交わす. どうも埼玉からフェリーでバイクごと来た人らしい.
風呂は別府最古の市営温泉,竹瓦温泉へ. ここはかなり良かった. 建物がすごく趣があるが,道後温泉のそれとは意味が異なる. 外観は道後の廉価版みたいな感じなんだが, 中は明らかに方向性が違う. 道後の風呂はかなり豪勢な感じだった. ここはひなびた温泉とはこういうものかと教えてくれる. 洗い場は無く,床は古くて黄ばんだタイル. 湯舟はU字で中途半端に深い. 脱衣所と風呂の間に仕切りは無く, 脱衣所から風呂場が全望できる. 風呂場は脱衣所から木でできた階段を降りたところにある. ここには地元の人達も来る. 別府にあるアジア太平洋大学の学生達やじいさまがいた. 学生さん達は留学生との会話で英語で話していた. はー,最近の学生さんはすごいねえ,聞き取ることはできるけど, 話すのは言葉が浮かんで来ないや. そう思っていたところへ,じいさまが学生さんに声をかけた. それでアジア太平洋大学の学生と判明したわけだ. アジア太平洋大学といえば,俺の母校と姉妹関係にある学校. だったっけ? と思いながら,俺立命出身!と声をかけて勝手に会話に加わった(笑) じいさまも交えてしょうもない話を楽しんだ. いいねえ,こんなの,道後には無かった. 別府は素敵な街だな. 温泉はちょっと熱くて入ってられないけど.
風呂を出て,あたりの街をうろついてみる. このあたりは繁華街らしい.それも,いかがわしい,が付く. ふらふらしているおっちゃんがたくさんいる. うっかり近寄ると,”にーちゃん,ソープランドはどう?”と声を掛けられる. ちなみに道後では,マスクをした女性が”お兄さん,よってかない?”だった. 俺がこの界隈をうろついていた理由はただ一つ. 関あじ,関さばを食べたいからだ(笑) 実はさっきYHのおっちゃんに,食べれる店を聞いてきたのだ. 二十八万石という魚市場直営の居酒屋があるそうな. ソープランドの客引きに聞き返してみた. すんなり場所を教えてくれた. なんて親切な人なんだ…実はそう簡単にはいかないだろうな,と思ってた. どうもありがとう. 礼を言って教えられた場所を目指す. 店はすぐに見付かった.なんつうか,居酒屋というにはえらいでかいぞ. なんっつー長いカウンター…. 20人くらいは座れるんちゃうかな. とりあえずメニューを見て関あじ,関さばを探す. 発見. 関あじ 3500円. …こんなん注文できるかーーー!!!(笑) そのまま帰るのもなんなので,刺身(700円くらい?)を食べて帰った.
YHに戻っておっちゃんに食べられなかったと伝えると, やっぱりそうか,という顔をされた. 明日の昼前まで別府にいるのなら,お試し価格で食べれる所を教えてくれると. ほほう. ほほほう. どうせ明日は地獄めぐりをするつもりだったので, そいつはかなり好都合だぞ. 店の場所を教えてもらった. 魚市場だかなんだかの直営の回転寿司だそうで, 午前11時開店なんだそうな. せっかくなので,場所を貼っとこうかな.
http://www.mapfan.com/index.cgi?MAP=E131.29.12.3N33.18.31.6&ZM=10
↑ここ.亀正ってお店. 感想は明日の日記で書くことにする.
部屋に戻ると,さっきとは違う人がいる. とりあえず挨拶. 京都から嫁さんと来た人らしい. 嫁さんと来るのにYHって珍しいなあー.
明日どこに行くかをマップとにらめっこしながら考えて, 喉がかわいたので談話室に. 先程の人が嫁さんと一緒にいた. お茶をもらってぽやーっとしていると, 一緒に食べませんか,と誘ってくれた. 途中で買って来たスモークチキンだそうな. パンにはさんでくれた.なかなかうまい. この奥さんがまたえらいおしゃべり好きな感じの人で, すごく気さくだった. 半面,旦那さんは静かな人みたいだ. 奥さんがしゃべるに任せる,という感じだった. 部屋の向う側では,おっちゃんも含めて酒が入って凄まじい盛り上がりを見せている. ライダー同士,気が合うみたいだ. 部屋の真中では,テーブルを二つ三つとくっつけて, 大勢で盛り上がっている. ここは常連組らしい. 明日はやまなみハイウェイを抜けて,阿蘇を目指そう.
[HOME]